(質問)
再建築不可物件は一般に評価できないと言われていますが、評価がゼロと言うことではないと思うのですが。
どのような条件が考慮されて評価が決まるのでしょうか。物件の状況は次のようです。
使用道路は国の所有ですが、いわゆる公道ではありません。家も築後80年を越えてい
るようで老朽化が激しいです。
(回答)
その物に価値があるのは、その物を欲しいと思う人が存在するということです。
その物を欲しいと思う人が全くいなければ価値はゼロになります。
一般に、建築基準法上の道路に接していないため、再建築が不可ということであれば、
第三者が欲しいという需要は著しく低いものとなりましょう。ただ、建物が比較的新し
い場合には、
建築確認が不要な改築等を繰り返すことにより、ある程度の年月は居住することができ
ますから、
周辺相場よりも相当に安ければ、その安さに着目した第三者の需要が期待できます。
本件の場合、建物が築80年を経過しており、通常は大規模修繕や建て替えが必要と思
われることから、
建築確認が必要となるでしょう。この場合、建築確認は受理されないことから、
建物が比較的新しい場合と比較して、より一層価格は低下せざるを得ません。
つまり、無道路地上の建物の築年数と土地価格とは相関関係を有しているということです。
仮に本件土地を売却する場合は、まず隣接地の人に買ってもらうという方法が考えられます。
隣接地の土地が、本件土地を買い増しすることによって、より効率的に利用できるよう
な条件があれば、
第三者が買う場合よりも高い価格で買っても損はないはずですから。
もし手放さないとするならば、設備等を改装して賃貸に供することはできないでしょうか?
ご自分で住むということも考えられます。
無道路地の評価は時々行ないます。評価ができないということはありませんので、
客観的な価値をお知りになりたいというのであれば、不動産鑑定士に実際に本件物件を
見てもらいましょう。
少し専門的になりますが、評価方法としては、
①建築基準法の道路に最低限接道するように隣接地を買収する場合を想定し、
一体となった形状(旗竿地)の土地の評価を行い、
次に当該買収予定地部分の価格を査定し、一体地の価格から当該買収費用を控除し、
さらに用地取得の可能性に対する不確実性を乗じた価格を求める方法。
②無道路地の取引事例を広域的に収集し、その取引事例地と対象地との比較を行う方法。
③現在の建物を改修し賃貸に供する場合を想定し、
賃貸借可能な有期期間に対する収益価格を求める方法(土地・建物一体価格)などがあります。
いずれの方法も不動産鑑定士の裁量が多くの部分を含むため、評価としては難しいものとなりましょう。
もう一つアドバイスすることは、質問の記述では
「使用道路は国の所有ですが、いわゆる公道ではありません。」とありますが、
公道=建築基準法の道路とは必ずしも限りませんので、
当該道路(空地?)が建築基準法上の道路か否かをまずは的確に調査すべきです。
また、周辺地域の街路事情等によっては、建築審査会等の議を経て、建築基準法の道路として
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